日本語化されたコマンドには、日本語のマニュアルが付属していることが あります。NetBSD の標準の man コマンドでは、これらを見ることができません。 そこで、日本語のマニュアルを見ることができる jman コマンドを作成します。
NetBSD のマニュアルを日本語に翻訳した、jman とよばれるものがあります。 これは、 NetBSD/X68kプロジェクトの方々によって翻訳されたものです。
マニュアルの処理は、roff コマンドによって行なわれます。
NetBSD の roff コマンドは 日本語の処理ができません。
そこで、日本語化した groff を用いて日本語を処理させます。
groff 1.10 + japanese patch (jgroff 0.99+)のインストール
もともと入っている /usr/bin/groff は、英文のマニュアルを処理する 際に使用されています。日本語対応した groff および 関連プログラム は、これと衝突しないように、jg* の名前で /usr/local 以下にいれる ことにします。
まずソースコードと日本語化のパッチを入手します。 以下の場所などにあります。
展開してパッチを当てます
% cd $(TOPDIR) % tar zxvf $(SRCDIR)/groff-1.10.tgz % cd groff-1.10 % zcat $(SRCDIR)/jgroff-0.99.diff.gz | patch -p1 % zcat $(SRCDIR)/jgroff-0.99+.diff.gz | patch -p1インストール方法などの解説は、README.jp に記述されています。 それを良くよみながらインストールしていきます。
Makefileを生成させます。
% ./configure --prefix=/usr/local ( DVI の出力を ASCII-TeX の形式にする場合は、--JTeX=ASCII を追加)
g=を
g=jgとします。
コンパイルして、インストールさせます。 デフォルトでは、/usr/local/bin, /usr/local/share/groff などに コマンドや roff のマクロなどがインストールされます。
% make % su # make install
従来の groff と、今回入れた日本語の groff を明確に分離するために いくつかの作業を行ないます。
# cd /usr/local/bin # mv grodvi jgrodvi # mv groff jgroff # mv grog jgrog # mv grolj4 jgrolj4 # mv grops jgrops # mv grotty jgrotty # vi jgnroff 最後の行の groff を jgroff に変更する呼び出し用の設定ファイルも修正します。 gro* の各コマンドを呼び出す部分を、jgro* を呼び出すように変更します。
# cd /usr/local/share/groff/font # foreach i (devascii devdvi devlatin1 devlj4 devnippon devps) ? cd $i ? mv DESC DESC.orig ? sed -e 's/gro/jgro/g' DESC.orig > DESC ? cd .. ? end
jman のパッケージを入手します。 以下の場所が配布元です。
ftp://ftp.spa.is.uec.ac.jp/pub/NetBSD/jman/
% cd $(TOPDIR) % tar zxvf $(SRCDIR)/netbsd1.2B-jman-*.tar.gz % cd netbsd1.2B-jman-*
/usr/local/bin/nroff を /usr/local/bin/jgnroff に 修正(8箇所)
インストールします。
% su # setenv LANG C # make install
groff のマクロファイルにパッチを当てておきます。 groff に付属のmanマクロファイルは、本来の BSD のものと少しことなる 部分があります。これを修正して、日本語対応してくれるパッチです。
# cd /usr/local/share/groff/tmac # cat $(TOPDIR)/netbsd1.2B-jman-*/jgroff-for-netbsd-jman.dif | patch
日本語マニュアルは、/usr/local/jman の中に入れられます。 また、/usr/local/bin/jman コマンドが作成されます。 この jman コマンドは、 /etc/jman.conf を参照してマニュアルを 読み込んで表示します。通常の man コマンドは、/etc/man.conf を参照しています。
man.conf(5) の詳細な記述方法は、 man man.conf を参照して下さい。
通常の man(1) と同様に利用できます。 ページャを日本語が通るように more ではまく、less(日本語化したもの)に しなければなりませんが、jman は PAGER が未設定の場合は、 自動的に less を読んでくれます。
日本語マニュアルがあればそれを、なければ英語のマニュアルを参照します。 日本語のマニュアルを、/etc/jman.conf に設定されたディレクトリに いれておきましょう。(/usr/local/jman, /usr/X11R6/jman など) なお、マニュアルの漢字コードは、euc である必要があります。
例: 適宜変更が必要です # mkdir /usr/X11R6/jman # mkdir /usr/X11R6/jman/man1 # nkf -e kterm.jman > /usr/X11R6/jman/man1/kterm.1 % jman kterm
なお、他の NetBSD のコマンドのように、マニュアルをテキスト形式 にして格納したければ、次のようにすればいいでしょう。
例: 適宜変更が必要です。 # nkf -e kterm.jman | jgnroff -Tnippon -mandoc > /usr/X11R6/jman/cat1/kterm.0
テキスト形式のマニュアルは、 (マニュアルのディレクトリ)/cat(ジャンル)/(コマンド名).0 として格納します。